コラム一覧へ

なぜ今、即興や作曲がフォーカスされるのか?

毎日暑いですが、オリンピック選手の活躍に感動と元気を頂いています。

特に今回は10代の若い選手たちが、本当に楽しんで結果も出しているというところに、日本人でも世界で活躍できるという自信と誇りを感じる方も多いのではないでしょうか?

先月のショパンコンクールの予選でもそうでしたが、世界で活躍している若い日本の方々は、英語でスピーチをしたり、インタビューにも英語で応えたりしている方が多くなりましたね。

最近では、世界の共通言語は英語とプログラム言語だという話も聞きますが、音楽も紛れもない共通言語ですね!

さて、今日は、先日講師ミーティングでもお話しした即興や作曲について書いてみたいと思います。

アメリカのテキストを使っている方や、エレクトーンなどの電子オルガンのテキストには、必ず即興や伴奏付け、作曲などの課題が含まれていますが、最近は、今まではそのような課題を取り上げていなかったクラシックピアノの先生方も、ご興味を持つ方が増え、セミナーなども色々開催されているようです。

なぜ今、即興・作曲がフォーカスされるのか?

まず一つにYouTuber ピアニストさんたちの活躍が大きいと思います。

YouTubeで人気のピアニストさんたちは、ジャンルを問わず、ほとんどの方が自分で作曲したり、アレンジしたり、そして他のピアニストさんと遊んでいるかのように楽しそうに連弾したりしています。

今までの「ピアノのお稽古=クラシック・ピアノ 毎日の厳しい練習」というイメージからは程遠い、楽しいイメージが先行しているのは、オリンピックのスケートボードやサーフィンと通じるものがあるような気がします。

もちろん、楽しいだけではなく練習の積み重ねが大切なのですが、その練習の仕方も、先生から言われたことを修行のように繰り返す練習ではなく、自分で考えてイメージトレーニングをして、苦しい練習の中にも楽しさを見いだせている方が成功しているように感じます。

そしてそのようなYouTuberピアニストさんの演奏を見た子供たちが、即興や作曲に興味を持ち、特に課題にされていなくても見様見真似でやっているという例が増えているのではないでしょうか?

私の生徒でも、曲の練習は嫌いだけど、即興は好き、作曲もしたい、YouTuberになりたい、という生徒は何人かいます。

もちろん努力も練習も必要で、「そんな甘いもんじゃないよ」とは思いますが、そう思う気持ちは大切に伸ばしていってあげたいし、そのサポートをする役目もピアノの先生に必要な能力になってきていて、今後は出来合いの曲を教えるだけでは対応できない生徒が益々増えてくると思われます。

そしてもう一つの理由として、教育界で言われているアクティブ・ラーニングがピアノのレッスンにも浸透してきていることではないでしょうか。

自分で考えて、自分を表現する力をつける、問題を解決したり、時には自分で問題や課題を作ったりするという、今まで日本ではあまり行われていなかったような取り組みが、教育の面で広まると同時に、音楽やピアノのレッスンでも求められるようになってきたのだと思います。

自分を振り返ってみると、始めて作曲したのは小学校3年生の時、「3年4組の歌」でした。(笑)

残念ながらどんな歌だったか忘れてしまったのですが、先生が歌詞をプリントしてくれて、私が教室にあったオルガンで伴奏をして、クラスのみんなで歌ってくれたことは覚えています。

次の作曲は5年生の時、「ぬいぐるみKIKIの歌」♪

これは今でも歌えます!そして、そっくりなメロディーの曲が後からヒットして、「ああ、私の方が先に思いついてたのに!」と子供の時に思った記憶があります。(笑)

ただ、このようなことを当時のピアノの先生には話していませんでした。

親や学校の先生にはクラスの歌とか披露できたのですが、なぜか子供心にクラシックのピアノの先生には、勝手にこんなことしているのを知られたくないという感覚があったように思います。

怒られるとは思わなかったけど、あまり賛同してもらえないような気がしていました。

中学の途中から、ピアノの先生を変わるきっかけになったのも、バイエルレベルの友人がコードネームを見ながら弾き語りをしていて、衝撃を受けたことでした。

たまたまその新しい先生がカワイのドリマトーン(電子オルガン)も教えていたので、自由で楽しいドリマトーンに夢中になっていきました。

当時はピアノ=クラシック、電子オルガン=ポピュラーという感じでジャンル分けされていたように感じます。

でもそれがだんだんと融合されて、今ではピアノでもポピュラー音楽を弾くし、電子オルガンでもクラシック音楽を弾くというのは当たり前のことになっています。

それ故に、教える講師には広い知識が必要になってきていますね。

即興や作曲をする、または即興や作曲をしたい生徒をサポートする時に、このような広い知識に加えて大切なことは、

「まずはやってみる!自分の言葉で話すように自分の音楽を表現する!」

ということではないでしょうか。

このことは、以前のコラムでも詳しく書いているので、ぜひご一読いただけたら嬉しいです。

私が英語でピアノを始めるきっかけでもあり、また広めたいと思った大きな理由の一つです。

参考:コラム「アメリカのテキストに見られるジャズ的要素①」


また最近、YouTubeを見ていて、私が言いたかったことを的確に言ってくださっている動画を見つけたので、こちらもシェアしたいと思います。

今後、英語でピアノでは、既に申込み受付を開始しているジェイコブ・コーラー先生のセミナーの他に、武蔵野音楽大学でポピュラー音楽のゼミを担当されている欠田芳憲先生のセミナーや、アップル認定トレーナーの先生による、作曲アプリとして人気のガレージバンドの有効利用の仕方など、企画していきたいと思っています。

講師ミーティングでも毎回気軽にできる即興や作曲について触れていきたいと思っていますので、ご興味のある先生方、ぜひご参加くださいませ。

コメントする