強弱、高低など意外と難しい導入期の概念指導 (どなたでも閲覧できます。)
幼児さんの導入期で、意外と難しいのが、強弱、高低、左右などの概念指導です。
大抵のピアノメソッドでは、音符が出てくる前に、音の強弱や高低、演奏の導入として右手、左手、指番号などを覚える課題があります。
幼児の場合、まだ日本語も覚束ないわけで、それを英語でとなると益々難しい。
特に混乱するのが、大小と高低です。
大きな音、小さな音は、かなり小さな子でもわかってくれます。
なので、大きな音は「loud」小さな音は「soft」と声も「loud」のときは大きな声で、「soft」のときは小さな声で言うようにします。
「「soft」はソフトクリームの「soft」ね。柔らかいでしょ。」のような言葉を少し加えると覚えやすいです。
そして「loud」は英語で、ピアノの楽譜に出てくるときは「forte」というイタリア語を使うこと、「piano」は楽器の名前になっているけど、元々はイタリア語で「弱く」の意味、強い音も弱い音も出せる楽器で「pianoforte」というなどの話を交えてあげると、府に落ちやすいし、付き添いのご父兄も知らない方が多くて「へー、なるほど」と納得して頂けます。
こちらは長年やってきて当たり前と思っていることを意外と知らなくて感心されることがよくありますね。
そして「f」と「p」を声で大小にすると同時に、書くときに「f」は大きく「p」は小さく書くと見た目でも大小がよくわかってよいと思います。
なおこ先生の動画にも強弱のレッスン動画がありますので参考にしてみてください。(なおこ先生のPiano lesson dictionary Lesson 12-14)
あと、これはちょっと余談ですが、学校の音楽のテストで「f」を「大きく」と書いたら間違いとされ、正しくは「強く」と先生に直されたと聞いたことがあります。
うーん、強く弾けば大きな音になるわけだし、どちらでもよいのでは?と思いますが、皆さまはどう思われますか?
その話を聞いて以来、一応生徒には「私は同じでいいと思うけど、テストのときは’強く’と書いた方がいいよ。」というようにしています。
この音の強弱(大小)までは、大抵すんなりわかってもらえますが、高低になると小さな子は混乱してきます。
まず「高い」「低い」は背の高さなどで説明するとわかります。でも音の高い低い、声の高い低いなどは、あまりピンとこない子が多く、高い=大きい、低い=小さいと混同する子が多いです。
普通「高い低い」は上下で表すのに、ピアノでいうと右左で上下になるという概念も難しいようです。
そもそも右と左もまだよくわからない子たちにピアノで「上に行く」は「右に行く」のよと言ってもなかなか理解してもらえないでしょう。
また「up」と「high」、「down」と「low」の違いも英語だと尚更混乱します。
このあたりも「stand up」「sit down」「going up」「going down」などを使って、なおこ先生の動画(Lesson 8-11)や、私のリアルレッスン動画(21-23)でも説明しているので、参考に御覧ください。
このように、できる限りわかってもらえるように手は尽くしますが、それでもわからなかったとしても、この段階ではあまり気にしなくてよいかと思います。
このような概念は、幼児ではわからなくても小学生ならほとんどの子が理解できるようになるので、あまりここで、できないからと立ち止まらずに、進んで行った方がよいと思います。
右手左手がわからない子には、赤と青のリボンを巻いて、楽譜に赤丸青丸をつけたりしていると、そのうち覚えてきますし、それよりも意外と簡単な四分音符、二分音符のリズム打ちなどを先にやるのもよいかと思います。
音符の読み方や意味は別として、四分音符=1beat、二分音符=2beatsというのはわりとすぐに理解する子が多いです。
考えてみたら、1歳、2歳のリトミック教室でも、歩く、ゆっくり歩く(ゾウさん)などのように、四分音符や二分音符の長さの違いは感じていることが多いですよね。
また白と黒という違いも分かりやすいので、black head = 1 beat 、white head = 2 beatsのように教えると、Piano Adventures のMouse Rhythm などは意外とすんなりできる子がほとんどです。
その生徒の理解度に合わせて、何の概念から教えていくかは、テキストの順番にはこだわらず、先生の判断で変えてよいと思います。
次回は右左について書きたいと思います。