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国際音楽の日 学校コンサート

学校コンサートのこと

今日は、英語でピアノと直接は関係ないのですが、私が長年演奏させて頂いている学校コンサートのことについて書かせて頂きます。

皆さまは、「国際音楽の日」(International Music Day)という記念日があるのをご存知でしょうか?

1977年にチェコのブラチスラヴァで開催されたユネスコの国際音楽評議会(IMC)総会で制定され、英語表記は「International Music Day」。

人類共通の宝物であり、世界共通の言語とも言える音楽。その音楽の意義を広く啓蒙・普及し、世界の人々の相互理解を深めることが目的。また、IMC総会では国際的連帯のもとに音楽の記念行事を催すことが決定されたそうです。

日本では、1994年11月に「音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律」(音楽振興法)が公布・施行されて、その中で10月1日を「国際音楽の日」とすることが定められ、翌年から実施されました。

1996年には国際音楽の日の記念切手なども販売されたそうですが、現在の認知度はあまり高くないような気がします。

私が20年以上前から演奏させていただいている青森県の学校コンサートは、国際音楽の日コンサートとして毎年10月初めに開催されていました。

それを始められたのは、カワイ楽器の副社長・副会長を務められた川守田三次郎さん。

最初はご自身の出身校である小さな小学校にグランドピアノを寄贈されたのがきっかけでした。

そのグランドピアノというのは、1995年に開催されたショパン・コンクールで使われたカワイのフルコンサートモデルEXでした。

ショパンコンクールから戻ってきたピアノを買い取って調整し、ご自身の出身校に寄贈されたのです。

青森県三戸郡にあるその小さな町には、コンサートホールがありません。

だから、町の子供たちが身近に本物の音楽に触れらるようにと、ピアノを寄贈してコンサートを自費で始められたのです。

第2回目からは、1995年のショパンコンクールで、そのカワイのピアノを弾かれたピアニスト森知英さんが、一昨年まで毎年演奏されていました。

私はちょうどその頃、カワイのドリマトーンコンクールなどで賞を頂いていたことからご縁を頂き、その後も度々呼んで頂くようになりました。

最初は川守田さんの私費で開催していた学校コンサートでしたが、だんだんと噂が広まり、近隣の小学校の生徒さんやご父兄も聴きに来るようになり、町に音楽を広めたいという川守田さんの思いが、町の教育委員会の方にも届き、町主催のイベントへと発展していきました。

最初の頃は、体育館でやっていたので、雨が降るとすごい大きな雨音がしてしまったり、音響などはなくピアノとドリマトーンの音量バランスなど取るのも大変でした。

でも年々重ねていくうちに、町の方々の音楽への思いも次第に強くなり、2005年に、町に初めてのコンサートホールができたのです。

新しくできた中学校の中にあるホールですが、木の香りがするとても素敵なホールで、音響や照明も整備され、立派なコンサートができるようになりました。

そのホールの柿落としでも、森知英さんと私で演奏させて頂くという光栄な機会を頂きました。

私は途中何度か抜けましたが、数えてみたら19回も呼んで頂いていました。

こちらは一昨年のプログラムです。

この学校コンサートの他にも、さくらんぼ祭りや、農業高校での演奏会など、合わせたらもう20回以上その町へ行かせて頂いていて、その度に町の皆様にとても温かく迎えて頂き、いつも本当に楽しい時間を過ごさせて頂き、私の中で、その町はすっかり第二の故郷となっています。

一昨年、第25回のコンサートの時、95歳になっていらした川守田さんは、「ここに来られるのはこれが最後だと思う」とおっしゃっていたのですが、その通り、昨年はコロナで中止になり、川守田さんもご逝去されました。

今年は追悼の思いも込めてコンサートをというお話を頂いていましたが、緊急事態宣言の延長のため、やはり今年も残念ながら中止となってしまいました。

この状態で中止は致し方ないと思いましたが、せっかくご招待頂いていたのに、何もできないのが申し訳なく、何かできないかと考えたときに、いつもアンサンブルをお願いしている元カワイの同僚でピアニストの藤田純子さんと、シンクルームで合わせができたので、それなら演奏動画を撮って送ろう思いつきました。

川守田さんがお好きだった日本の歌をメドレーにした合唱曲を、ピアノとドリマトーンで演奏して、動画にして見てもらえたら、昔の歌を知らない世代の子供たちにも覚えてもらって、来年は一緒に歌えるかも!とワクワクしながら作りました。

Youtubeにアップしたところ、町の皆さんや、川守田さんのご家族からも嬉しい感想を頂き、来年が益々楽しみになっています。

私もよく知らない歌詞が多かったのですが、動画を作りながら、日本の歌の優しいメロディーや歌詞がじんわりと心に染みて、このような素晴らしい歌の数々は是非若い人たちにも伝えていきたいという気持ちにもなりました。

何もないところから新しいことを始めるのは大変なことですが、それを長く続けていくというのはもっともっと大変なことです。

色々な方の思いが繋がって広がって、絆が強くなって、このように長く学校コンサートに関わらせて頂いていることに、本当に心から感謝しています。

シンクルームからZoomに流した音なので、時々雑音はありますが、ピアニストさんとお互いに自宅から演奏して撮った動画に、町やコンサートの写真なども加え、歌詞も入れて編集しました。

よろしければどうぞご覧ください。



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